第二次世界大戦の話題でよく耳にする「ひめゆりの塔」ですが、どんな場所なのかご存じでしょうか?

沖縄は日本でも最高の観光地として知られていますが、何泊かするのであればぜひ時間を作りこの地を訪れてみるべきです。

月日は流れ、戦争を体験した世代の人はかなり少なくなってきています。

もしかしたらそういった過去の日本の話を一度も聞いたことがない人も多いのではないでしょうか?

しかし、日本人として生きるならば、しっかりとこの戦争の辛さを心に刻んでおくべきだと言えるでしょう。

「ひめゆりの塔」は、そういった機会を作るには最適な場所なのです。

この記事では、そんな沖縄を訪れたら行っておくべき「ひめゆりの塔」について解説していきたいと思います。

ひめゆりの塔とは?

ひめゆりの塔は、沖縄県糸満市にある慰霊碑です。

沖縄の南部にあるこの場所に行くには、レンタカーやバスで行く方法が最もポピュラーでしょう。

時間的には、沖縄空港からレンタカーで30~40分程度、40~50分程度で到着します。

営業時間は9時~17時で、ひめゆりの塔自体は無料です。

(隣にある平和祈念資料館は有料※大人450円、高校生250円、小中学生150円)
ひめゆり」とは、1945年3月末に南風原にある沖縄陸軍病院に看護要因として配属された「ひめゆり学徒隊」のことです。

アメリカ軍のガス弾によって多くの女学生が命を落とし、自ら命を絶った女学生もいたそうです。

この「ひめゆりの塔」は、そのひめゆり学徒隊を慰霊する目的で建てられた塔なのです。




ひめゆり学徒隊

この学徒隊は、沖縄県立第一高等女学校の生徒222名と引率教師18名のことを指します。

大所帯のように思えますが、当時の沖縄はそれでも人手が足りないほどの戦況でした。

負傷兵は増え続け、看護だけでなく水汲みや飯上げ、死体埋葬も行っていたのです。

前述したように、アメリカ軍のガス弾により多くの命が失われ、自ら命を絶った女学生も多くいたわけですが、それ以前にすでに絶望的な状況に追い込まれていたそうです。

3月24日に従軍したわけですが、日本軍の防衛戦が撤退し、回復の見込みのない負傷兵や学徒は置き去りにされてしまったのです。

NHKより 手榴弾を配られるひめゆり学徒隊

負傷兵やひめゆり学徒隊は分散して地下壕に身を潜めますが、その状況のまま6月18日に学徒隊の解散が命じられます。(この時、看護婦採用試験合格者は除外されます)

最も大きな被害を受けたのが伊原第三外科壕にいた学徒隊です。

壕の中にいた96人のうち87人が命を落としたのです。

この伊原第三外科壕こそ、現在ひめゆりの塔が立てられているその場所なのです。(石碑の前には伊原第三外科壕の穴があります)

他の壕にいた人たちは、アメリカ軍の攻撃を事前に察知して逃げましたが、その学生たちの多くも銃撃や砲撃で命を落としたと言われています。

結局、職員含め240人のうち136人にも及んだのです。

沖縄県にはひめゆりの塔と同じようにな慰霊碑はいくつも存在します。

ひめゆりの塔がその中でも圧倒的な知名度となり、沖縄戦の悲惨さを伝える象徴のように扱われているのは、逸話が小説化されたからだと考えられます。

1949年に石野径一郎によって小説化されると、その後映画化されたのです。




ひめゆり平和祈念資料館

ひめゆりの塔の隣接地には、「ひめゆり平和祈念資料館」が建てられています。

この資料館では、第三外科壕の原寸大のジオラマが設置されています。

また、南風原陸軍病院壕の一部を再現した原寸大の模型もあり、当時の証言映像が流されています。

このひめゆり平和祈念資料館は、元ひめゆり学徒隊の同窓会と募金などによって設立されました。

ひめゆりの塔を見学した後に必ず寄っておきたいスポットです。

ひめゆり学徒散華の碑

ひめゆりの塔から車で南に10分~15分ほど走ると、「ひめゆり学徒散華の碑」に到着します。

ここは、解散命令後生き残ったひめゆり学徒隊が辿り着いた場所なのです。

しかし、ここでも自害をしたりアメリカ軍の攻撃にあってしまったと言われています。

平和祈念公園

ひめゆりの塔から南に少し車を走らせれば、平和祈念公園に到着します。

公園内には、沖縄戦の遺品や写真などが展示されていて、沖縄で命を落としたすべての人々の名前を刻んだ「平和の礎」や戦没者の鎮魂と平和を祈る「平和祈念像」などが建てられています。

南東側では、美しい海岸線を眺望することができます。

事前に小説を読んだり映画を観ておくとGOOD!

沖縄旅行で長期滞在するのであれば、テンション高く美しい海や青い空、各観光地を楽しむかと思いますが、半日だけでも良いのでこの「ひめゆりの塔」などを見学してみるべきです。

さらに、事前に小説を読んだり映画を観ておくと、より胸の奥に大切な感情が芽生えるはずです。

石野径一郎氏の小説『ひめゆりの塔』や、ドキュメンタリー映画『ひめゆり』を筆頭に、ひめゆりの塔をテーマとした様々な作品が公開されています。

そういった作品を事前に知っておき、現地でひめゆりの塔を見学すれば、平和に笑顔で大切な人たちと楽しめることがいかに幸せなことなのかを深く認識できることでしょう。

ひめゆりの塔の後に寄りたい観光スポット

ひめゆりの塔を見学すると、感情が揺さぶられる可能性が高いはずです。

もしかしたら、少し気分が落ち込んでしまうかもしれません。

せっかくの沖縄旅行ですから、そのままの気持ちで過ごすのもあまり良いとは言えないでしょう。

しっかりと感じ取った大事な感情を胸の奥にしまったら、気持ちを切り替えて同じ沖縄南部の観光スポットに寄ってみましょう。

斎場御嶽(せーふぁうたき)

斎場御嶽は、沖縄県南部にある観光スポットでありパワースポットです。

ひめゆりの塔からは、東に20分ほど車を走らせれば到着します。

2000年に世界遺産にも登録されたこの場所は、琉球王国最高の聖地で、6つの拝所が設けられています。

特に人気のスポットとなっているのが、「三角岩」です。

三角定規の様に綺麗に空いた岩の割れ目は、ぜひ通っておきたいところです。

向かい側には、知念岬公園の絶景スポットもありますので、ぜひ行かれてください。




琉球ガラス村

琉球ガラス村は、ひめゆりの塔から西に3kmほどしか離れていない場所にあります。

沖縄県最大の琉球ガラス工房となり、直売所はもちろんアウトレットショップやレストラン、美術館などがあります。

ガラス作りを見学したり、創作体験をしたリして楽しむことが可能です。

テレビで一度は見たことがある吹きガラスやジェルグラス作り、アクセサリー作りなど楽しみ方のバリエーションも豊富です。

また、ガラスだけでなく、シーサーの絵付けなども行うことができます。

小学生以上であれば吹きガラスも体験できるので、お子さんでも楽しむことができます。

まとめ

今回は、沖縄を訪れたら行っておくべき「ひめゆりの塔」について解説してきました。

ひめゆりの塔は、日本人であれば人生で一度は行っておくべきスポットであると言えるでしょう。

また、外国籍の人も、きっと心に感じるものがあるかと思います。

沖縄という最高の環境を楽しむ合間に、少しの時間でも良いので「ひめゆりの塔」に寄ってみてはいかがでしょうか?

那覇市からひめゆりの塔は約30分